社員の自律的な学びを促進する人財育成とは

社員の自律的な学びを促進する人財育成とは

株式会社電通
半田 友子氏 株式会社電通 キャリア・デザイン局INPUT!365事務局

電通は2019年5月、「INPUT!365」という全社的ムーブメントを開始した。学びのプラットフォーム「INPUT!Channel」、ビジネススキルやテクノロジーをテーマに掲げるオフラインのセミナー「INPUT!Hour」、会社全体を旬のネタで包む「INPUT!Wrapping」など、多面的な施策を時にNewsPicksと共に用意し、社員の自律的な学びの促進を目指している。

この施策を担当するのは、同じく昨年1月に新設されたキャリア・デザイン局だ。果たしてどのような目的をもって電通はキャリア・デザイン局を設立し、「INPUT!365」を展開しているのか。NewsPicks担当執行役員の麻生要一が、キャリア・デザイン局INPUT!365事務局の半田友子氏にお話を伺った。

全社員に成長の機会を

麻生 キャリア・デザイン局は昨年社内で新たに設立された部署と聞きました。まず、どのようなミッションをもって作られたのかお聞かせください。

今回の取材はZoomを使ったオンラインで行われた。(写真左が麻生/右が内田)

半田 キャリア・デザイン局のミッションは、電通で働く一人ひとりの成長を支援し、電通の事業成長に寄与することです。電通の資産は「人」しかありませんので、電通の事業成長のためには、電通で働く「人」が自ら成長し続け、結果多様な能力や経験を持つ社員がチームとなり、勝ち続ける必要があります。
キャリア・デザイン局では、そのために社員が必要な支援と、その社員を支えられるように組織への支援も行っています。

麻生 会社が用意したカリキュラムを一方的に学ばせるのではなく、社員が自発的に自らのキャリアを考え、一人一人の頭で考えていくように促すために設立されたのですね。今までの育成のあり方と大きく変えたのには、何か理由があったのでしょうか。

半田 従来、社員の成長や学びはOJT(On-the-Job Training:現場研修)にかなり頼った形でした。OJTの重要性はいまでも変わりませんが、OJTだけでは経験の差・機会の格差が生じてしまう危険性があります。かつ、社会の変化がますます速く非連続になるなかで、全社員が危機感をもって自らをアップデートし続ける必要がある。こうした背景が、現在につながる様々な取り組みにつながっています。

リアルとオンラインの場を複合的に活用

麻生 社員の自発的な成長を促すため、キャリア・デザイン局は具体的にどのような施策をとっていますか。

半田 代表されるのは「INPUT ! 365」という施策です。多様な電通社員一人ひとりが自ら成長する意欲を持ち続け、日々能動的にアクションする、そんな気運と習慣を作るためのムーブメントです。
INPUT!365には様々な取り組みがありまして、たとえばそのうちのひとつにNewsPicksと一緒に取り組んでいる「INPUT! Hour」などがあります。学びの習慣化を目的として、月に1〜2回、主に水曜日に複数の勉強会やセミナーを集中開催しています。
他にも「未来構想キャンプ」という、宿泊型の施策もあります。自分と電通の未来についてとことん考え、自分のありたき姿に向かって学びのプランを設計するものです。全社員を対象としたプログラムで、数年かけて全社員が受講できるように進めています。すでに、初年度で約500名が参加しました。

麻生 オフラインでの学習の場がある一方で、オンラインではどのような取り組みをされていますか。

半田 主軸になるのは、「INPUT! Channel」という、オンライン学習のプラットフォームです。電通オリジナルの学習コンテンツはもちろん、NewsPicksが提供する動画学習サービス「MOOC Enterprise」やその他学習コンテンツを掲載して、全社員がいつでもどこでも、自由にオンラインでインプットができるようになっています。

麻生 NewsPicksのコンテンツも活用いただいていますが、どのような役割を期待して取り入れていますか。

半田 NewsPicksの記事や動画はスパイス的な役割として活用させていただいています。様々な業界の最先端の情報を、様々な角度からインプットすることで、自分の視座や視点の変化を感じたり、新しいインスピレーションがうまれたりすることで、「これから」の電通に求められる仕事のヒントにつながることを期待しています。

麻生 INPUT!365チームとして社員の成長への施策を始めて約1年になりますよね。手応えなどを感じる瞬間はありますか。

半田 施策開始半年で、INPUT!365施策の何らかに接点があった社員は6000名近くまで増えていることがわかりました。社の成長を支援する取り組みへの認知は、着実に高まっていると考えています。社員と話をしていても「INPUT」という単語が浸透してきていると感じます。

麻生 逆に新たに見えてきた課題などもありましたか。

半田 多忙で施策になかなか参加できない社員が多くいるのも事実です。業務ももちろんですが、育児や介護等に忙しい働き盛りの社員が多い。こうした方々が参加しやすくなるように、NewsPicksさんのお知恵をお借りしながら、私たちにできることを考えたいです。

子どもの世話をしながらオンラインで学習

今回は実際にMOOCを活用し、イベントなどにも積極的に参加している第1統合ソリューション局の服部さんにもお話を伺った。

麻生 一社員として様々な施策に触れてみて、どのような印象を抱きましたか。

服部 もともと電通は研修や講座が多かったので、興味があるもの/仕事に少しでも関わりのあるものはスケジュールに入れて、業務と重ならない限りは参加するようにしていました。今回のINPUT! Hourのイベントも同様に、行けるときはなるべく行くようにしていましたね。
オンラインでのコンテンツに関しては、過去の研修講師や聞いたことがある方の動画が目に留まり観ていました。僕はいわゆる動画世代の若者よりも少し上の世代になるので、やはり集合研修で直接お話を聴けることも大事にしていたり、テキストベースの記事の方が移動中に読むハードルが低かったりする部分はあります。

イベントにも積極的に参加されている第1統合ソリューション局の服部様

麻生 ご自身のキャリアを考えたときに、コンテンツや学びの場をどのように自分の中で活用しようと位置づけているのでしょうか。

服部 あまり長期的な視点でキャリアを考えてはいないのですが、現業でマーケティング領域に携わっていたり、事業のコンサルティングに関わる仕事もあるので、そういうときに活かせる知識を意識的にインプットしてはいます。また、たとえばユニバーサル・スタジオ・ジャパンを再建した森岡毅さんのように、企業内であっても独立した後でも事業に貢献しながら働いていく姿に格好いいなと刺激を受けることがあります。そういう様々なキャリアの人たちの話が聞けるのはなかなかない機会だな、と。私自身がジョブホッピングを考えているわけではないですが、電通は社内でも様々な活躍の仕方をしている人間がいる企業なので、働き方を考えていくヒントとして活用できるなと思っています。

麻生 実際にイベントや動画で学んだことが、仕事に有益だと感じられた瞬間はありましたか?

服部 アフターデジタルの藤井保文さんが講演に来てくださったときがあるのですが、ちょうどそのとき中国出張が決まったときだったんです。今後の研究開発のテーマを一緒に考える仕事だったのですが、クライアントは専門性が高いので、我々は生活者の実態を知っているという側から価値を出していかないといけない。
藤井さんのお話は、まさに中国の生活者のリアルな実態を知ることができる貴重な内容でした。具体的な企業名なども挙げてくださったので、きちんと理解した上で、出張した現場で実態も確認でき、クライアントと会話ができたのは大きかったですね。そのあとMOOCで藤井さんの話を再度聞けたりして、より理解が深まりました。イベント動画にはそういう循環が生まれやすいですね。

実際の電通で活用されているNewsPicksのUI

麻生 動画をオフラインイベントの復習で使うなど、うまく組み合わせて活用されているんですね。オンライン動画は時間や場所を問わず使えるというのが利点だと思うのですが、服部さんは普段MOOCなどをどのような場面で使われていますか?

服部 基本は休日の家にいるときですね。パソコンでしっかり観るというよりは、スマホでちょっとした時間にチェックする、という感じで使っています。というのも、いま子どもが二人いて、その子育てがあるので平日はほとんど時間がとれないんです。必然的に使うタイミングが限られてしまう。
休日も子どもと一緒にいますが、たとえば子どもが私の膝の上に乗ってビデオでアニメを観ている間、僕はスマホでコンテンツを観たりしている。最近はコロナの影響でリモート対応が増えたのでワイヤレスイヤホンを買ったのですが、なおさら在宅で子育て中でも使いやすくなりました。

リモート環境でも学びの提供をし続ける

麻生 キャリア・デザイン局のINPUT!365施策は、オンライン学習に加えてオフラインイベントも多数行なっているというお話でした。2年目を迎える今年、新型コロナの流行による影響などは出てきていますか。

半田 会社自体がフルリモートワークになり、社員は出社できないため、オフライン施策は延期・オンラインへの完全シフトをすみやかに行う必要がありました。

麻生 それは大変ですね。

半田 はい、当初は大変でした。ただ、労働環境改革を経て、リモートワークのためのシステムやツールは十分にそろっていたので、すべてオンラインでやってみようと捉え直しました。今まで本気でやっていなかっただけで、オンラインでかなりのことが実現できました。NewsPicksさんの技術力も活用させていただきながらYouTubeやZoom等を活用して試行錯誤しながら進めています。
コロナショックをひとつの機会として、オンライン・オフラインそれぞれの良さを理解し、これからは“うまく使い分けられる電通社員”でありたいですね。
Withコロナへ向かう今年は、オンラインの特性を最大限活かしつつ、参加ハードルが高かった方々が参加しやすくなるような内容・仕組み作りをやっていきたいと考えています。
やはり、どのような自分でありたいかを考え続けることが、成長には不可欠だと思います。繰り返しになりますが、「人」こそが最も重要な資産である電通にとって、社員の成長無くして事業成長は成し遂げられないことです。
私たちはそのためにも、一人ひとりの成長を支援する様々な取り組みをこれからも積極的に行っていきます。

麻生 キャリア・デザイン局にとっても新たな挑戦になりそうですね。お話ありがとうございました。


(取材:麻生要一/内田友樹、編集:園田奈々、デザイン:村木淳之介、写真:岩井俊樹)

 

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